田中千足のコラム 第5回 メダカ君をアライグマから守らねば
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攻撃は最大の防御なり、メダカ君たちを守ってやる最も確実な方法はアライグマの捕獲である。私が住んでいるところは箕面市の隣の吹田市である。吹田市のホームページには、一般市民にもアライグマの捕獲器を貸し出すとある。捕獲器借用書をダウンロードすると、注意書きにアライグマは獰猛で危険だから捕獲器の使用・管理には危険防止と安全対策を自らの責任で図れとある。うまく捕獲できれば市の環境政策室に連絡せよとある。引き取りに行くのに暇がかかる場合もあるからその間はきちんと管理しろとある。ちょっと怖いのかなあと怖気づきそうになる。もしネコ・イタチ・タヌキ等のアライグマ以外の獣がかかったときは、借主自身で市内の緑地、河川敷にて放獣することともある。
相当面倒そうだが、ともあれ吹田市役所の環境政策室に捕獲器を借りに行くことにした。施設管理者をやめて4月3日(月)の午後がフリーになり、吹田市役所に行ける日がやってきた。昼食もそこそこに、勇躍市役所に車で向かったのだが、なんと駐車場に入ろうとする車で一杯で駐車場に続く道路は入場待ちの車の列ができている。退場する車はほとんどなく、あとどれだけ待てば入場できるか全くわからない。そう、この日は新年度最初の開庁日で市役所内ではいろいろな行事や手続きの人であふれかえっているみたいだ。また今度でいいやと並ぶのが苦手な私は待ち行列から外れた。 こうしてアライグマ捕獲器の借用を先延ばしにしたが、その言い訳は、捕獲器を使ってうまくアライグマを捕獲する保証もないし、何より防御体制をもう少し上げるだけでメダカ君たちを守ってやれるだろうと考えたので。 500匹以上もいたメダカ君たちが全滅したと頭が真っ白になってしまったが、3月7日の襲撃の2日後飼育鉢を調べてみると、どの鉢にも最低2,3匹、被害の少ない鉢では10匹以上も生き残ってくれていた。全部合わせると50匹ほどはいた。2年3年ものの大きなメダカが特にアライグマの餌食になったようで、生き残ったものは稚魚といっていいほどのサイズのものが大多数だった。 手で持ち上げられない2つの大きな鉢は、ホテイアオイの残骸を取り除き、きれいな水を加えるだけにした。生き残ったメダカたちは広々とした環境で悠然と泳いでいるようだった。 残りの飼育鉢である睡蓮鉢は一旦メダカたちを仮飼育容器に移し、汚れた底砂も水道水で綺麗に洗い流し、田んぼの土の代わりに真砂土を底に敷き、たっぷり水道水を入れ、2,3日天日にさらし、カルキ抜きをし細かい土の沈むの待ち、仮飼育容器のメダカたちを戻してやる。2,3匹しかいなかった鉢は、メダカはほかの鉢に移すから、次世代用の鉢として、ただ水をたたえたままで出番を待つことになる。4つのメダカのいる鉢と、6つの出番待ちの鉢ができたのだ。 アライグマ対策をしながらのメダカ生活の今シーズンがこうして始まった。
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